はこだて港町眼科<公式>

北海道函館市港町1丁目20番21号

緑内障が気になる方へ
glaucoma

緑内障とは

緑内障は何らかの原因で視神経が障害され視野(見える範囲)が狭くなる病気です。眼圧の上昇がその病因の一つと言われています。

房水と眼圧

目の中には血液の代わりとなって栄養などを運ぶ「房水」と呼ばれる液体が流れています。房水は毛様体で作られシュレム管から排出されます。目の形状は、この房水の圧力によって保たれていて、これを「眼圧」と呼びます。眼圧は時間や季節によって多少変動しますが、ほぼ一定の値を保っています。

緑内障の種類

緑内障にはいくつかの種類があります。眼圧が高くなる原因によって主に原発緑内障、発達緑内障、続発緑内障に分けられ、原発緑内障はさらに開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障に分けられます。

① 原発開放隅角緑内障

房水の出口である線維柱帯が徐々に目詰まりし、眼圧が上昇します。ゆっくりと病気が進行していく慢性の病気です。

② 正常眼圧緑内障

眼圧が正常範囲(10~21mmHg)にも関わらず緑内障になる人がいます。これを正常眼圧緑内障と呼び、開放隅角緑内障に分類されます。近年行われた調査の結果から、緑内障の約7割が正常眼圧緑内障であり、また日本人に多いことが分かりました。

③ 原発閉塞隅角緑内障

隅角が狭くなり、ふさがって房水の流れが妨げられ(線維柱帯がふさがれて)、眼圧が上昇します。慢性型と急性型があります。

④ 発達緑内障

生まれつき隅角が未発達であることから起こる緑内障です。

⑤ 続発緑内障

外傷、角膜の病気、網膜剥離、目の炎症など、他の目の疾患による眼圧上昇や、ステロイドホルモン剤などの薬剤による眼圧上昇によって起こる緑内障です。

緑内障の症状

一般的に緑内障では、自覚症状はほとんどなく、知らないうちに病気が進行していることが多くあります。視野(見える範囲)も少しずつ狭くなっていくため、目に異常を感じることはありません。急性の緑内障では急激に眼圧が上昇し目の痛みや頭痛、吐き気など激しい症状を起こします。時間が経つほど治りにくくなるので、このような急性閉塞隅角緑内障の発作が起こった場合はすぐに治療を行い、眼圧を下げる必要があります。

緑内障の検査

緑内障は、眼圧検査、眼底検査、視野検査等で診断されます。定期検診などでいずれかの検査に異常があった場合、必ずもう一度眼科医の診察を受けるようにしましょう。

① 眼圧検査

直接、目の表面に測定器を当てて測定する方法と目の表面に空気を当てて測定する方法があります。緑内障管理のための重要な検査です。

② 眼底検査

視神経の状態をみるために、視神経乳頭を観察します。視神経が障害されている場合、陥凹(へこみ)の形が正常に比べて変形し大きくなります。緑内障発見のための必須の検査です。

③ 視野検査

視野の欠損(見えない範囲)の存在の有無や大きさから緑内障の進行の具合を判定します。

緑内障の治療

緑内障の治療は病気の進行をくい止めるため、眼圧を低くコントロールすることが最も有効とされています。治療法としては薬物療法やレーザー治療、手術が一般的です。レーザー治療や手術を受け、眼圧が下降しても、その効果が維持されるとは限らず、再度手術を行う場合もあります。

① 薬物療法

眼圧を下げるために使われる薬は、主に房水の産生量を減らしたり、房水の流れをよくする薬です。まず、点眼薬からはじめ、最初は1種類の薬で様子をみながら途中で変更したり、また2,3種類を併用することもあります。点眼薬だけでは効果が不十分な場合、内服薬を併用することもあります。

急性緑内障の場合や薬物療法で眼圧コントロールが不十分な場合、レーザー治療や手術を行います。

② レーザー療法

レーザーを虹彩にあてて穴をあけたり、線維柱帯にあてて房水の流出を促進します。比較的安全で痛みもなく、入院の必要もありません。

③ 手術

房水の流れを妨げている部分を切開し流出路を作って房水を流れやすくする方法や、毛様体での房水の産生を抑える方法などがあります。

日常生活で気を付けること

日常生活で特に気を付けることはありません。医師の指示を守り、健康的で無理のない規則正しい生活を心がけましょう。
ほとんどの緑内障は自覚症状がなく、病気であること、また病気が進行していることに気づかないことが多いので、定期的に眼科を受診しましょう。
治療のための薬は、回数・量を守って使用しましょう。
治療のための点眼薬や内服薬により副作用が現れることがあります。目に異常を感じたり、全身に何か変わった症状が出たときは、すぐに医師に相談しましょう。

大切な目を守るために

2000年から2001年にかけて岐阜県多治見市で一般市民を対象に緑内障疫学調査が行われ、その結果、40歳以上の人口のうち緑内障患者さんは約5%、20人に1人と予想以上に多いことがわかりました。また、緑内障患者さんの約9割が、自分自身では緑内障と気づいていない潜在患者であることもわかりました。
緑内障は、日本を含め諸外国においても、失明原因の上位に位置します。悪化する前にできるだけ早期に発見し、治療を開始することが大切です。
自分自身で目を守るという自覚を持ち、発見の機会となる健康診断などを積極的に利用しましょう。少なくとも年1回、定期検診を受けましょう。

最後に…

緑内障について最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。当院では緑内障の診断のために眼圧検査や眼底検査、視野検査(簡単なもの:FDT、精密なもの:HFA)や視神経の形状を他覚的に測定する検査(OCT)が可能で、点眼治療や内服薬の併用をはじめ、虹彩に穴をあけるレーザー治療(LI)や線維柱帯の房水流出を促進するレーザー治療(SLT)を行っています。手術治療は行っておらず、手術治療が必要な場合、病診連携のもと緑内障専門医のいる他院へ紹介しております。手術治療が必要となる前に、何とか緑内障の早期発見早期治療をし、緑内障での失明を少なくすることを目指しています。人間ドックや健康診断で緑内障を疑われた方や、別の症状で受診したときに偶然緑内障を指摘された方など、当院での診察時には緑内障について詳しくお話ししております。緑内障が気になる方は、一度当院の診察を受けてみてください。